扉の向こう
■[窓際のふたり](1/12)
―――窓際のふたり―――

 今朝は、母親がよく怒鳴っていた。

友哉が洗面台を濡らしたままであった事に腹を立てたらしかった。

「いいだろう、そのくらい。俺はいつも濡らしたままだし。」
そう思った。

言う事はできなかったけれど。

物を投げつけられる弟をよそ目に逃げてきた。

逃げてきた訳だから、早く学校に着きすぎた。

誰も居ない教室と言うのは不気味なものだった。


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