扉の向こう
■[キモチハココカラ](1/12)
―――キモチハココカラ―――

 デジタル時計の甲高いアラーム音に眠たい意識をたたき起こされる。

殴るように叩いて止めた目覚し時計は、電波時計で一分たりとも狂いが無い。

電池を入れ替えてリセット状態に陥っても、自然と時間を合わせてしまう。便利ではあるが、意図的に時計を十分進めておいたりする事はできない。

 二階の部屋を出て、一階のリビングに向かう。

「母さん、おはよう。」

母親は少し笑って「おはよう。」と返事した。

友哉はもう既に起きていたらしく、洗面所から水を軽く叩く音が聞こえてきた。


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