気づかないで恋心

05(1/3)

「●ザエさんがいい」

「いーや、ぜってぇちびま●子だろぃ」



騒がしい中、バチを持ったまま睨みあう。

画面に映るカウントは刻々と減っていく。

早く決めなきゃいけないけど、これだけは譲れない。



「いい?叩くよ、決定するよ?」

「待て、●ザエなんか邪道だろぃ。ちびま●子にしなせぇ」

「おい、呼び捨てすんな。《さん》を付けろ。●ザエさんを敬え」

「なんであんな弾けた髪型の奴敬う必要があんだ。ま●子こそ敬え、爺ちゃん大切にしてんだぞ」



後ろで小学生が早くしろと促すが気にしない。



「それは●ザエさんも一緒ですぅ。●平さんがあんな頭してても触れてあげないのよ?心広いっしょ。しかもカ●オにからかわれたら全力で追い掛けるという小学生ならではの無邪気さも兼ね備えてます」

「ま●子はあの年で演歌歌ってんだぞ、●蔵のために。優しすぎだろ」

「はぁ?!●ザエさんだって●平に《さぁー始まるドン!》

「「え?」」



ふざけた声に画面を見ると、曲が流れ始めた。

ア●パンマンだ、これは。



「あぁ!●ザエさんがよかったのに!」

「てめぇがぐだぐだ言うから始まっちまったじゃねぇか」

「何が《始まるドン》よ!勝手に決めないでよ!」



そうです、
太鼓の●人をしてるのです。

元気ないからと誘われてゲーセンに来た。

そして宗原は太鼓の●人をしようと言う。

曲を選ぶのだが意見が分かれる。そして冒頭に至る。

ちくしょう、言い合いに夢中になりすぎた。

なんでア●パンマンなんだよこのヤロー、やりたくねぇよ。



「なんでア●パンマンなんだよこのヤロー、やりたくねぇよ」

「同じこと考えるのやめてくれません?」

「知るか」



なんて言いつつ楽しそうに叩くこいつを見て
ア●パンマンも悪くない、なんて思った。




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