気づかないで恋心

04(1/1)






「はよーっす」



来ちゃったよ、今日もっとも会いたくない男が。

話し掛けられたくなくて机に伏せて寝たふりを決め込む。



「木梨、」



ちょっとちょっと、

私のところに一直線ですか?

いつもどおり皆川とからんでなさいよ。



「こら、起きろ」

「すー、すー、」

「お前、寝たふりすんな」

「すぴー、すぴー、」

「・・」

「ぎゃはははははッ!」



突然脇腹に手を添えられ、くすぐられる。



「ちょっ、ちょっ待てッ!た、のむから!しっ、死ぬ!ぎゃはっ!」

「おはよーございます。清々しい朝ですね」

「清々しくな、あは、あはは!やめ!」



笑い転げる私に満足気にニヤリと笑う宗原。

必死で睨むが宗原は怯えもしない。

あ、もう死にそう。

まじで気失いそう



「寝たふりして騙そうなんて甘ぇよ」



パッと宗原は手を離した。

あぁ、死ぬかと思った。


ふと、彼を見ると首元には私のマフラーが巻かれている。



「昨日どーしたんだよ」

「昨日?」

「これ、投げ付けたろ」



そう言ってマフラーを指す宗原。

何故か顔が見れなくなった。



「まぁ寒さ凌ぎにゃなったけど、投げて渡すなんて可愛げがなさすぎだろ」

「べつにいいでしょ?寒くなかったんなら」

「にしても渡し方っつーのがあっただろ?」



マフラーをとり私の首にぐるぐると巻く宗原。

巻き終えると宗原はふうっとため息をついた。



「びっくりしてた」

「?」

「A組の」

「あぁ」



しらないよ、そんなの。

あのこなんか見てなかったっつーの。

なんて言えるわけでなく顔の半分まで巻かれたマフラーに顔を埋める。



「木梨、」

「ん、」

「今日、ゲーセンでも行くか」

「は?」

「元気なさすぎ。何があったかしらねーが調子狂う」



髪をぐしゃりと撫で、宗原は笑う。



「だから放課後、ゲーセンに行くぞ」



あんた、ほかの女と出かけていいの?

もし見られたら勘違いされるんじゃないの?



「・・うん」



それも言えずマフラーに顔を埋めたまま頷いた





(遊びたいという欲求)
(けして、独占欲ではない)





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