あ、はい。

○嫉妬(1/4)




※秀馬side







ドサッ

「氷河!!」

スタンガンで気絶させられ、腰掛けていた真っピンクのベッドにそのまま倒れこんだ氷河。

そんなピクリとも動かなくなった氷河をみて、顔色を真っ青にし駆け寄ろうとした宇崎先輩の腕をヤマシーが掴む。

「氷河っ、氷河!!ッ、テメェ!!氷河になにすんだよ!クソ!!死ね!!」

何すんだよ、は同感。

「ちょー、何してんのお前。スタンガンは護身用っつってたじゃん」

「ごめんごめん。ついねー」

全く悪びれないヤマシーに、宇崎先輩はさらにブチギレて吠えまくる。

まぁ…目の前で友達が気絶させられたらキレるわな。けどさ、俺は恋人なんですけど?

友達の宇崎先輩が、恋人の俺以上にキレてます。みたいな顔しないでくれないかなー。

ヨイショと氷河の身体を起こし、スタンガンをあてられた場所を確認する。

「あーあー…。氷河の首にアト残ったらどーすんの。ヤマシーでも殺すかんねー」

「こっわー。それは勘弁して」

あんだけキレて吠えまくっていた宇崎先輩が、急に静かになったなと思ったら…ヤマシーの腕の中でグッタリしていた。

あぁ、なんだ。

宇崎先輩にもスタンガン使ったんだ。

「恋人にも容赦ないねー、ヤマシー」

「だってさー、俺も怒ってんのよ。ゆーちゃんが他のヤツとキスしたから」

ゲーセンでの話?

宇崎先輩が、氷河と付き合ってるだの何だの言った挙句にキスしてたっけ。

そーいえば。

「ヤマシーもよく女とキスしてんじゃん」

「俺はいいんですーぅ」

よかわからないけど、この会話聞いたら宇崎先輩がまたブチギレそーだなー。

気絶させといて正解。

「つーか、ヤマシーさ。付き合ってるの、宇崎先輩だけじゃないっしょ?他に付き合ってる子達も浮気しちゃダメなわけ?」

ヤマシーが男と付き合ってるのは初聞きだけど、色んな女と遊んでるのは知ってる。

ヤマシーが主催の“ヤマシーの彼女達”を、モテない同級生たちに“分け与える”合コンを開いてるとか聞いたことあるし。

そのヤマシーが、宇崎先輩が氷河とキスしたくらいで怒るって?なにそれ、おかしい。

「やだなー、秀さん。わかってるくせに!他の子たちはいーの。どうでもいいから」

「宇崎先輩は駄目なの?」

「うん、ゆーちゃんは駄目」

へぇ、断言か。

「なんで?」

「ゆーちゃんは俺の本命だから。誰にも渡さないし、触れさせたくない。」

はは、アツいねー。

ヤマシーがこんなにアツい奴だとは知らなかったな。相当、惚れ込んでるじゃん。

こんな奴に惚れられるとか不幸でしかない。

宇崎先輩、ご愁傷さま。





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