あ、はい。

○始まり(1/7)











天気は雲ひとつないほどの快晴。

爽やかな風が俺の横を吹き抜けていく。

階段登るのが面倒で来たことなかったけど、昼休みの屋上って最高だねー。

しかも本来は生徒の立入禁止区域なだけに、人もいないってトコが更にいい。

本当に来てよかった…なんて、思えるわけないよね。まぁそれというのも…

(俺の顔なんかついてんのかな)

そう。俺の目の前に立ったまま、鋭く睨みつけてくる人がいるからなんだけど。

炎豪氷河。

俺をここに呼び出した張本人で、校内一の不良と名高い学年一つ上の先輩。

呼ばれてなかったら、わざわざ屋上まで階段登るなんて面倒くさいことしないし。

「…初川秀馬」

さっきからずっと黙っていた炎豪先輩がゆっくり口を開いた。

フルネームで呼ばれんの新鮮。

「はい?」

「おまえ、俺と、つ、つっ、」

つつっ?

「ッ…舎弟んなれ!!!」

「…嫌かなー」

いきなり呼び出したと思ったら、なんの脈絡もなく舎弟になれとかないでしょ。

え、なに。それが用事だったわけ?

「話それだけ?じゃあ、俺、帰んね」

あ、敬語忘れてた。

まぁ、いっかー。

これからまた、あの無駄に長い階段をおりなきゃいけないって考えると萎えんね。

パシッ

「ん?」

「ま、待て…よ」

屋上を出ようとしたら、炎豪先輩が腕を後ろから掴んで引き止めてきた。

必死だなー。

そんなに舎弟欲しいんかな。

「舎弟の話なら断ったでしょ。それとも、まだなんかあんの?」

「ちっ、ちがっ!!!」

先輩が咄嗟に否定しようとして俯いていた顔をあげた。俺のほうが身長高いから、自然と炎豪先輩が俺を見上げる形になる。

あ、これは意外。

上目遣い可愛いじゃん。

「何が違うの?」

「しゃ、舎弟じゃなくて…」

「うん」

「恋人になれよっ!!」

ん?あれ。舎弟になれっていうのより変なのきた。恋人って…マジか。

「俺、男だよ?」

「そんなのわかってるに決まってんだろーが!ふざけんじゃねぇ!」

「えー…」

そりゃ間違えるはずないよね。

身長は180近くあるし、髪型も普通に男だし、顔も普通に男だし。つーか面倒いからまとめるけど、どっからどうみても男だし?

「いいだろ!好きなんだよ!」

「あー、はい。OKOK」

つまり、こういう事っしょ?

「ボーイッシュな女の子も可愛いけど、ボーイッシュすぎる女の子は大変だね。よく男に間違われない?」

「なめてんのかよ!!!!ボーイッシュなんじゃなくて男だ俺は!!!」

あ、やっぱり?

見た感じあんたも普通に男で、明らかに女じゃないよなぁとは思ったんだけどね。

いやでもそうでもないとありえなくない?

なんで俺、男にコクられてんの?




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