償いとアイビー
[六章](1/6)


「席替えしよーよ!」






10月中旬。



ロングホームルームは進路についてで、
それが終わって時間が余ったから
上条さんがそんなことを言い出した。


先生はやれやれと肩をすぼめて、
勝手にどうぞと言わんばかりに
席替え用の棒のくじを教卓から取り出す。







「じゃ、4隅の人がじゃんけんで
勝った人から回してこー!」







上条さんはそう言って、黒板に
席の図とランダムに番号を書く。



隣の席の木城くんが徐に立ち上がり







「俺に任せろ!!」





と鼻息荒く言った。






「木城くんそれ死亡フラグ」






私の予想は正しくて、木城くんは
見事な一人負けをかます。







「残り物には福があるんじゃぁあ!!!」






「木城うるさいよー」






先生が死んだ目で木城くんを注意して、
私たちの席から1番遠い隅からくじが回される。







「うち、12番!

うわ〜ビミョー」







「環奈、そこの席物理でめっちゃ
当てられるよ!笑」






「はっ?!まじかよ、いやだぁあ!!」







「相良もうるさいよー」






先生、なんかあったの?笑
ってくらい死んだ目で注意してる笑



くじを引いた人から黒板に集まって、
自分の名前を書いていく。






「あ!大雅隣〜!!」






上条さんはそう言って大雅にニッコリ笑う。
大雅の隣は、上条さんみたい。






「あー、上条か。

化学わからんかったら助けてな。」






「じゃあ大雅はうちに英語教えてねっ!」





そして、私がくじを引くばん。


どこでも良いけど1番前は首がしんどいから
嫌だ。


番号を確認して、黒板に書きにいく。








上条さんの、後ろ。









大雅の、斜め後ろ。








。」







なんか、やってしまった感が否めない。







「千草ちゃん!

私、千草ちゃんの隣だよ!」






振り向くと、とっても嬉しそうな椿。







「えっ、ほんと?!

やったぁ、嬉しい〜」







「えーーー、千草ちゃーん?


うちはー?!
うち、千草ちゃんの前ですけどーー!!」







「嬉しいに決まってんじゃん!
やったね、上条さん!」








「うちだけ遠いんですけど。」








「どんまい、環奈!」







わいわい、がやがや。








でも私は取り残されたみたいに
ぼんやりしてしまって、

大雅の荒々しい字が
黒板でも色濃く残って、





斜め後ろの私の力が抜けた字が


ひどく、
対照的。











大雅を見ると、黒板を見つめて
唇を噛んでいて、










その意図は?










私の斜め前は、嫌?











Z



「なんで俺1番前なん!!!」









木城くんは、残り物には福がくるは立証ならず
教卓の横という素晴らしい
1番前をかましました。





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