散る桜の如く
八、夢が告げる導き(1/45)
「王手」
パチッと音を立て、駒が盤上に置かれる。
私はひたすら自分の陣地を見てうんうん唸り、
「ま、参りました」
潔く降参した。
「ハハッ、また俺の勝ちだな」
将棋盤を挟んだ向かい側で、福原さんは爽やかに笑った。
彼は私より二つ上の二十歳で、一番隊の隊士でもある。
将棋が得意で、よく私の相手をしてくれるんだけど、今のところ私は連戦連敗中だ。
「将棋は難しいですね」
相手が次にどう動くかを考え、駒を動かすのが将棋だ。
いわば、戦略が物を言う頭脳戦。
どうも私はこういう遊びに弱い。
「でも最初に比べれば大分上達してきたじゃないか」
「そうですか?」
「あぁ、そうだとも。一ノ瀬と打つのは面白いよ」
- 340 -
前n[*]|[#]次n
*しおり
⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?
[編集]
*back