散る桜の如く
七、鬼と呼ばれる者(1/51)
寒い冬が過ぎ、春。
桜も蕾が開き始めた暖かな日。
ポカポカ陽気の中、縁側でひなたぼっこしながら私はちょっと考えていた。
なんだかんだで新撰組に来てから半年近くが過ぎ、隊務にも猛稽古にも慣れ嫌がらせもほとんど無くなった。
だから、これと言った問題はないんだけど。
ポニーテールにしてても腰まである長い髪を手に取り、指で遊ぶ。
……どうしよう。
「おや、一ノ瀬さん。悩み事かね?」
声をかけられ顔を上げると、井上さんと斎藤さんがいた。
井上さんはともかく、やっぱり斎藤さんは気配がない。
「いえ、悩んでるってほどじゃないんですけど」
「……また何か言われたのか?」
少し心配そうに斎藤さんが聞くもんだから、私はすぐに否定した。
- 289 -
前n[*]|[#]次n
*しおり
⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?
[編集]
*back