5.雪山に行くぞ(1/8)
「どうだ?息子に会った感想は?」
夜、部屋に戻った京子に、男はニヤニヤと問いかけた。
「嬉しいの一言しかないわよ。
あんな立派な青年になっていただなんて…。
本当に会えて良かった」
京子は温かいお茶を一すすりしながら、満足気に答えた。
「そうだろうなあ。お前の息子だもんな。いい男だよな」
男は尚ニヤニヤとしている。
一喜に会うまでの不機嫌さはどこへやら。
急に機嫌が良くなり、京子への態度も口調も少しばかり優しくなった気がする。
「あんた、さっきからなんなの?態度がコロコロ変わって。
もしかして更年期?」
「そうかもなあ」
京子のイヤミも気にせず、男は鼻歌混じりにくつろいだ姿勢を見せた。
京子はそれ以上気にするのをやめ、一喜との再会を思い出しながら、幸せな眠りについた。
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