雪どけ
*雪どけ (1/7)
12月。
今日は、雪が積もっている。
「寒いなぁ…」
窓から見える雪を見て、
小さくつぶやく。
この季節になると、
いつも思い出すのだ。
あれは、ちょうど10年前。
俺が26歳のときだった。
教師になって3年目で、
初めて担任をしたクラス。
すごく、いいクラスだった。
特に"中崎翔"という少年。
高校三年生なのに
周りに気を配れて、
優しくて、皆に慕われていた。
…なのに。
こんな雪の日、届いたのは
彼が事故にあい、
息をひきとったとの知らせだった。
クラスの全員が、
嘆き悲しんだ。
俺も、その一人だった。
今でも、忘れられない。
しばらくはクラス中が
生気を失っていた。
俺は今でも、
あの日に、中崎に、
あのクラスに執着しているのだ。
窓の外では、雪が舞いはじめていた。
「クソ…」
36歳にもなった大人が、
拳をにぎりしめる。
そのとき。
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