CLASH 〜悪と闇〜
[衝突](1/5)

高進と助けた二人は鉄の廊下にあった階段を上がり、ひとつ上の階へと上っていた。

相変わらず静かで誰もいない。

天井の明かりで気にも止めなかったが、外が見える窓もない。

ますます冒険者のやる気を削ぎ取る、ダンジョンのようだ。


『…そーいえばさ!まだ名乗って無かったよな?!』

『んなもん必要ねんだよ。クソが。』

『まぁまぁいーじゃねぇかよ!名前は絶対必要だろ?!知っといて損はねぇ!俺は清水洋介〔しみずようすけ〕だ!薬中!!よろしくな!』

『じゃぁ私も言っとくわね。下宮加代子〔しもみやかよこ〕よ。よろしくね。』


始まった…こりゃなんの仲良しごっこなんだ…
名乗らねぇと死ぬのか?
わけわからねぇ…


『あんたは?』

『あぁ?』


高進は洋介を睨み付けた。


『おぉ…っとーおっかねぇ……下の名前だけでもさー教えてくれよッ。 な?』

あの女といいコイツらといい…どうなってんだ。
これが人間か?


『……高進。』

『高進ね〜イケてる名前じゃない!』

『ホントだぜ!高進!ぜってぇここから抜け出してやろうぜ!!』



反吐が出そうだ。
何かあればコイツらから…『お?ここなんだ?』


洋介がふとガラス窓で透けた資料室のような場所の前で立ち止まった。

『何か色々情報がありそう…入ってみましょ。』


『おい…勝手に…』


高進の言葉が届く前には加代子が扉を開き二人部屋に入っていた。

クソコイツら……

『何か本やらペラペラした資料やら山積みになってんなぁ』

『見て。壁に白衣もかかってる。』

『ホントだ。研究者でもいるのか?』

『わからない…でも、こんな広い施設なのになんでこんな何でもない場所にまとめてあるのかしら。』


確かにそうだ。高進は軽く数十もの扉を抜けて来た。
しかしこんなに山積みになってる部屋は……

『もうひとつだけあった。』

『え?』

『お前らの部屋に行き着くまでにもう一部屋だけ。本や資料がまとめてある部屋が。』

『なるほど…だとしたら核となる場所…研究室やいわば司令塔みたいな場所が、もしかしたら案外近いのかも。』


加代子は白衣を眺めながら言った。


『でもさ、正直ここで何が行われてるのか、なんで閉じ込められてるのか、全然わからねぇままだよな。俺たち。』

『そうね…ここが“ブラックカンパニー”という闇の企業ということまでしか…』



『おい。』

『なに?高進。』

『お前なんでここがブラックカンパニーって知ってんだ。』

『え…それは…… あなたも会ったんじゃないの?ここのボスに…』


ボスに… じゃぁコイツらも…


『おい…待てよ…なんだよそれ…俺は会ったことねーぞ。』


『え?』

なんだと?


『そりゃ普通の場所じゃなぇことぐらいはだいたい見りゃわかるけどよ…ボスって…ちゃんと教えてくれよ!』



ガラガラガラ バンッ



『?!』





『そこまでだ』




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