(*:[忠告](1/5)
住所を聞きに階段をドタドタ下りると母さんが台所で夕飯を作り始めていた
『なぁ、母さん』
『んー?』
『住所教えてくんねぇ?』
『あら、なんで?』
『なんか、頼風が教え
―――ガタンッ!
『ちょ、母さん!!』
電話帳から頼風の名前を探し出し、メール作成の画面を見つめながら言うと、何かが勢いよく落ちた音がして音のした方に顔を向けると、母さんの目の前には切る途中の人参、そして足元には母さんが握っていたであろう包丁が落ちていた
『母さん危ねぇだろ!怪我してねぇか!?』
急いで母さんに駆け寄って包丁を拾い流しに入れた
俺の問いかけになかなか答えない母さんを怪しみ、顔を覗いた
『か、母さん?大丈…『時雨!!』…え?』
『頼風くんと連絡とるの…もうやめなさい…』
『は?なんでだよ』
そう言ってしっかりと俺の肩をつかんだ母さんの手は尋常じゃないくらいに震えていた
『いいからやめなさい!!』
『ぃ、いみわかんねぇしっ、もぅいいわ』
その言葉はさすがに俺の脳を刺激してイライラがじんわりとこみあげてきた
この村に来てから母さんは少しおかしくなった
前にもこんなことがあった
母さんと診療所に行った日、俺がじいさんの家に寄ってから家に帰ると、いきなり肩を掴まれて心配された
一体なにが…
――――「ただいまー」
『あ、おかえり父さん』
部屋に戻ろうとリビングを出たところで父さんが帰ってきた
『おぉ、時雨。学校はどうだった?』
『うーん、長くなりそうだからその話は飯ん時にするよ』
『そうか、わかったぞ』
会話が終わり、再び階段を登り始めると父さんの「な、なんだ」と言う声がしてフッと後ろを振り向くと母さんが父さんの腕を掴んで、なにやら小声で会話を始めた
それを見たのと同時に2階でドタッという鈍い音が聞こえた
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