化学室と意地悪な彼



彼は生徒【1/1】







「佐倉先生」



いつものように呼び止められる。


「桐原くん、どうかしたの?」



「放課後、化学室で待ってます」



そう一言言った彼は颯爽と教室の中へ消えていった。





彼の名前は桐原 怜。

化学部の部長で、唯一の部員。
成績は常に学年トップの秀才で、ノンフレームのメガネをかけていて、身長は高め。
感情はめったに表に出さず、いつもクールで何を考えているのかわからない。



そんな彼になぜか気に入られてしまったわたし。



今年教師になったばかりのわたしは、この学校で化学部の顧問を任されてしまった。

新任教師なのになぜ?

そう思ったわたしは、校長先生に尋ねてみた。


すると、校長先生は「化学部部員の桐原くんの指名です」と答えてくれた。



そんな感じで、化学部の顧問になったわたしだけど、担当教科は国語。
化学は苦手科目だったわたしにとって、化学部の顧問は中々難しかった。



そして、なぜ桐原くんがわたしを指名したのかはわからないまま、さっきのように「放課後、化学室で」とよばれるのが日課になっている。




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