長谷川は目を逸らしたまま紡いでいた口をもう1度開いた。 「この関係で付き合う事はもう終わりにしたほうがいいと思う。」 言い難そうに放ったその理由の意味がわからなかった。 だって、教師と生徒って関係だったから私達は好き同士になった訳でしょ? なのにこの関係が理由で別れたいと思う長谷川が理解できなかった。 「……ていうか何で今更それ?おかしいでしょ。」 呆れてついため息が出る。 本当は私の事“嫌いになった”って言えないからこの関係のせいにして別れたいんでしょ。 私の事落としたらもう終わりなんて勝手すぎる。 「俺が美波の教師でいる間はどこにも連れて行ってやれないし、彼女として扱う事も出来ない。」 「……。」 「美波は同じ生徒と付き合うほうがいいんじゃないか?」 長谷川はずっと俯いたまま一方的に話して、私のこの気持ちに一切気付いてくれない。 他の男と付き合うほうがいいなんて勝手に決めないで欲しい。 「先生はこの先私以外の女と付き合うんだ……。」 「そんな事今考えてないよ。」 「でも私が他の男と付き合うのは考えてる。私は他の男とか考えられないのに勝手なこと言わないでくれる?」 また苛ついてきた。 どうしてこんなにムカつくのに長谷川がいいのかよくわからない。 「美波……ごめん……。」 「変に遠まわしな事言ってないで本当のこと言ってよ。嫌いなんでしょ?私の事が。」 「……嫌いじゃない。……だけど……今は好きなのかもわからない。」 最初からそう言ってくれれば、まだ傷つかなかったかもしれないのに。 これが長谷川の本音。 17時間目 ―この恋の結末― |