10も年下のあの子に恋をした

○隣人(1/5)










楽しい時間はあっという間にすぎるもので、もう3日もたってしまった。

三浦との生活はかなり便利だ。

家事全般こなしてくれるだけでなく、朝が苦手な俺を起こしてくれたり、昼の弁当まで作って持たせたりしてくれる。

合鍵は初日の夜に“合鍵は持てない”と、断られたので渡していない。

だから、帰りは俺が仕事終わるまで玄関の前か公園で待つように言ってある。

何度も恋人をレンタルしたみたいだ、と思ってしまったが…そんな時は、相手は生徒だと慌てて言い聞かせた。

もちろん、周りに見られてはいけないからな。朝はわざと時間帯をずらして別々に家を出なきゃいけない。

少し不満だが、それは仕方ないだろう。

「じゃあ俺先行くよ」

「あぁ、気をつけて行け」

「ん、センセも気をつけてきてね」

朝は鍵を持っていない三浦が先に家を出るのだが…玄関を出る直前に、家の中での名前呼びから先生呼びに変わる。

それが異常に寂しく感じてしまって、名前呼びに慣れてしまったことを知った。

パタン

「はぁ、格好良いな」

扉が閉まると同時に、俺は顔を両手で覆いその場にしゃがみこんだ。

周りには隠しているが、俺はゲイで男にしか興味がない。そして、三浦の容姿も声も性格もドストライクなのだ。

たとえると、俺の好みが服を着て歩いているような…本当にそんな感じで…。

今まで付き合った人は皆、顔だけとか声だけとか一部を好きだったが。

まさか、全部が理想の男が現れるとは。

それなのに、なんで未成年でしかも生徒なんだよ。現実は酷すぎるだろ。

「あ、忘れ物…って、何してんの?センセ」

「うぉっ!?な、なんでもない!!」

「なんだ、ハハッ!腹でも痛いのかと思った。心配させんなよ」

好きすぎる。

表情にでないようにするのは割と得意だが、内心すごく悶えている。

笑った顔といい、セリフといい。

なんでここまで俺の好みなのか。

「って、おい!忘れ物って…こんな時間じゃ、俺が仕事遅刻するだろ!」

「ごめんごめん」

うっ…卑怯だ。素直に謝られてしまうと、それが軽くても強く言えない。

惚れたら負けというのは、こういうことを表してるに違いないな。




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