ぼくとマイク
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僕のマンションのお隣さんはぬいぐるみで、マイクという男の子だ。クッキー作りが趣味で、毎週日曜に作りたてを持ってきてくれる。彼は僕のいれるハニーティーをいたく気に入って、「この世で一番幸せの味がする」と言いながら何杯もお代わりをする。

「それで、言っていなかったんだけれど」

空っぽになったカップを置いてマイクは言った。

「子供の時から人間が住む町で一人暮らしをするのが僕の夢だったんだ。マンションを決めるときは慎重だったよ。ここは外観もステキだし、部屋から見える景色も最高だったから、僕の夢を叶える場所にほんとうにピッタリ、だけどひとつだけ心配事があって」
「心配事?」
「お隣さんが優しい人がどうか、それが不安でしょうがなかったんだけれど、君でよかったなあ。挨拶したとき、そのまま扉を閉められたらどうしようかと思った!」

なるほど、と僕はうなずいて彼のハニーティーのお代わりを入れてあげた。

「安心していいよ、僕はぬいぐるみと眠ったりしたことはないけれど、君のことを知るたび仲良くなれそうな気がしてるんだ」
「仲良くなれそうだって?」

マイクはハニーティーのたっぷり入ったカップを両手で包み込み、フーフーしながら言った。

「僕たち、もう仲良しじゃないか!」



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