愛されたがり
[保健室にて](1/5)
漸く保健室に着いたけど、保健の先生は
不在みたいで中には誰もいなくて。
佐藤は意外にも責任感が強いらしく、先生が
戻るまでここにいると言い出した。
気にしないで授業戻っていいのに。
というか寧ろ、戻って欲しい。
コイツと二人きりだと凄く落ち着かないし
沈黙になってしまう。
思い切って声をかけてみる。
「佐藤」
「…んだよ」
「まだ授業間に合うよ?」
「……戻って欲しいのかよ」
「うん」
正直に即答すると、佐藤は顔を歪めていた。
だってお前も俺と二人きりなんか嫌だろ。
さっきだってペア組むのも駄々こねていた
くらいだし。
ジッと顔を見つめられたので見つめ返すと
はぁっと溜め息を漏らしていた。
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