狂白華〜狂い咲く華の名は〜
[第一話](1/11)
「最近若い女性の行方不明者が増えてるんだって。」




会社にある食堂で一人昼食を食べていると、近くのテーブルからそんな言葉が耳に飛び込んできた。




盗み聞きしたいわけではないけど、距離が近いから嫌でも会話の内容が聞こえてくる。





「あー、今ニュースでやってるやつ?」




「そうそう、しかも行方不明になるのはみんな気が強い人ばっかりなんだって。」




「知ってる知ってる!この間も一人行方不明になったんだよね。」




「うん、じゃあさ噂知ってる?」




「噂?なにそれ?」





「あのね、行方不明者達は幽霊に拐われたんじゃないかって噂。」




「えー!なにそれ、こわーい。」





「実際に見た人がいるらしいよ、深夜の2時くらいって言ってたかな?なんかねたまたま女の人が消えた所にでくわしたんだって。その時一瞬だけど白い影を見たらしいよ。」




「ほんとに?」




「ほんとほんと、でもその人酔っぱらってたみたいだしたぶん見間違いだろうけど。」





「なーんだ、あ!もうこんな時間!早く戻ろ!」




「ちょっ!待ってよー!」




ドタドタと慌ただしい音を聞きながら箸を置く。




「幽霊ねー。」




もしそれが本当だとしたらその幽霊こそが犯人じゃないのかと思ったけど、私には関係ないことだ。



そうそうに頭からさっきの話を追いやって、食器を返し仕事に戻ることにした。




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