ホンモノを教えてあげる
[離さないから](1/14)
第五章

【離さないから】



「早川さんさぁ」






放課後
日直の日誌を出しに職員室にいくと
珍しく保健医がそこに居て、

職員室の隅に呼び出された。





「最近
フリーパス使ってくれないんだね」




あたしは白衣の保健医を見上げた。


バーで会ってから、
あたしの足は保健室から遠退いていた。





会わなければ
この人に



振り回されることも




暁に

秘密を作ることも無いと思ったから。






「用がないので」







「そうかな」





「……」











「彼氏とのセックスじゃ
満足できないくせに」






その言葉にあたしは
周りを見回して、誰かが耳にしていないかと確認する。


「こんなとこで
何を言うんですか!」



「じゃあ、
二人で話せる場所があるよね」



保健医は口角をあげる。




「こんなこと
ばれたらまずいのは

あなたの方でしょ!?

行く必要ありません」



あたしは
小声で保健医に訴える。






「早川さんだって
バラされたら困る人物が居るじゃないか」




あたしは、
こんな脅しめいたことを言う保健医の顔にゾクリとした。









この人は









こんなにも

冷たい顔も持っているんだ。




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