夏の終わり 僕の始まり
[止まった時間](1/1)
彼の放った一言が僕の頭を停止させた。

彼女がこの世にいない?

彼女は死んでる?

そんなはずはない。

だって、

さっきまで、

一緒に悩み、

一緒に笑い、

一緒にイルカ探して

一緒に花火をみた。

そして、キラキラの笑顔。

そんな彼女が死んでしまっているはずがない。

僕は身動きさえ出来ないくらい混乱してしまった。

僕は何が何だか分からなくなった。
一瞬時間が止まった気がした。

ありえない、

彼女を握ったときの感触がまだ残ってる。

彼は何を言ってるのか?

そう思った。

崩れ落ちる僕の姿を見た彼は

彼女と過ごした3年前のことを話してくれた。

僕は話を聞いて驚いた。

その話とは

3年前、彼がやっていた仕事の
企画が認められた。
会社から高い評価を受け出世が
約束される最高の役職を任せられる事になった。
彼はその出世と引き換えに転勤を命じられた。
でも彼には結婚を考えていた彼女がいた。
彼は転勤をする事を悩んだ。

考えに考えた末、
彼は出世の自信を想いに託し
彼女に結婚を申し込み、
一緒に転勤先に行こうと思った。

そして、
その想いを伝えようと
この水の祭りのあるホテルへ旅行に行こうと誘ったのだった。

なぜなら、

インターネットで
このお祭りのことをしり、

彼女に最高のプロポーズをするため

イルカのメッセージを考えた。

そして、

彼は彼女の為に
事前に何度かホテルをおとずれ
サプライズを用意した。

この一年に一度の水の祭りの
灯りが消える
たった一度のサプライズの瞬間に
勝負をかける為に。

そう、彼女を思う気持ちをこめて。

そして、

彼は彼女を旅行に誘った。


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