夏の終わり 僕の始まり
[海沿いの丘の上の彼](1/1)
その時、

近くの海沿いの丘の上を見た

彼女の表情が変わった。

僕は驚いて彼女の視線の先に目をやった。

そこには花束を持った1人の男の姿があった。

彼女は涙を流しながら

その小さな体を震わせ

海沿いの丘の上にいる

花束を持った男の姿を
じっと見ていた。

僕は一瞬で分かった。

もしかして、彼?

彼女は小さくうなずいた。

僕は彼女の手を握った。

行こう。

僕は彼女を彼のもとに連れて行こうとした。

そして

彼女の一途な想いと

彼女の努力、愛情

長かった2年の時間

全てを彼にぶつけて

彼女の思いを少しでも

知ってもらおうと思った。

しかし、

彼女は僕の思いとは裏腹に

力いっぱい僕の手を払った。

いいの。もういいの。

私のことはほっといて

彼女が動こうとしなかった。

僕は彼女の行動に混乱した。

どうして?

どうして?

好きなんだろう。

ずっと待ってたんだろう?

この2年間づっと

たった一人で、このホテルで

だったたらどうして?

次の瞬間

僕と彼女の目に驚く出来事が飛び込んできた。

立っている
海沿いの丘の上にいる
花束を持った彼の後に
1人の女性が近づいてきた。

そして彼は

その女性の肩を抱き

しばらく海を見つめながら、

大きな花束を投げた。





- 12 -

前n[*][#]次n
/23 n

⇒しおり挿入


⇒作品レビュー
⇒モバスペBook

[編集]

[←戻る]