京にももうじき春がやってくる
寒さの中にも暖かさが混ざって来た。
「丞ーどこ行くの?」
「旅館やで、旅館」
「わーい!丞とお泊まりだ!」
「雪ちゃん、違うで?長州の間者を探しに行くんや」
近藤達により疑われた隊士は果たして長州の間者だった。
沖田と永倉には頑なに口を閉ざしていたが、土方の厳しい追及により白状した。
丞と雪が向かおうとしているのは彼らが拠点としている旅館らしい。
「ええか?雪ちゃん。浪士組とか言ったらあかんで。俺達は一応、薬売りや」
「うん」
今日は雪も丞と同じように藍色の薬売りの装束である。
「丞…」
「何?」
「手…つないで」
「あ…あかん!仕事中や!監察はあまり目立ったらあかん」
- 96 - * シ オ リ←*|#→
⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?*****←