スケッチヒーロー
[序](1/1)
だれかに救われたとか助けられたというエピソードは、少なからずありふれていて


それはちょっとしたことから九死に一生を得るような貴重な経験だったり様々だ




私は昔自傷癖があった


途中からはほとんど無意識だった


気がついたら、手首にはいった筋から、ぷくっと血が溢れていた


別に傷ついてる姿を見られたいんじゃない


いつのまにか癖になっていた


やりたくてやってるんじゃない


気づいたら切れている


引っ掻いている


すりおろしている




いまからすれば、あのときの私は異常だった


そんな私をみて、愛に溢れた悲しみで顔を歪め、涙をボロボロ流してどろどろの手を取ってくれた


それが彼だった



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