▽魔法の言葉 (1/1)
「はぁ、」
鏡を見て出る言葉は昨日からいつも一緒。
はぁ、
ため息ばっかり。
「はぁ〜〜〜、」
昨日久しぶりに美容院に行った。
少しすいてもらうつもりが、だいぶ短くなってしまった。
いままでは、ふわっとした可愛い髪型だったのに、
いまはショートカットに近い感じ。
だからため息ばっかり。
髪切らなきゃよかった。
お金の無駄だった。
なにを言っても私の髪は戻ってこない。
だから、今日はあきらめて学校に行く。
朝制服を着るときも、この前まで似合ってた制服が、今日は似合ってないように感じる。
「はぁ、」
学校に近づくにつれてため息が漏れる。
「あれ、榎本?」
だれかが、私の名前を呼んだ。
とっさに体がビクッとなった。
「あ、おはようございます…」
私の名前を呼んだ人は、私が今日1番会いたくなかった人。
1こ年上の先輩で、会えば喋りかけてくれる優しい人。
こんな髪型見られたくなかったのに、
なんで今日に限って会ってしまうの??
「へ〜、髪切ったんだ」
「はい…」
あー、先輩に前の髪型のがよかった。とか言われたら多分泣く、
ってか今も泣きそう。
「俺、ショートヘアーの子好き」
「え…」
「じゃ、じゃあ」
そう言って、先輩は学校に先に入ってしまった。
パッと目につくのは、ガラスに映った自分の姿。
さっきまで大嫌いだった私の髪型。
今この瞬間に、大好きになった。
END
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