不思議の国と俺様アリス
ハートの女王様(1/12)






「……って、おい」



いざ女王のところへ、と歩きだした瞬間、俺は口を開いた。



「なんでそんな茂みから行くんだよ…」



そう。
こいつ、現れたときと同じように茂みの方へ足を進めやがった。



「えー、だってこっちが近道だし〜っ」


「いや、城、あそこにあるじゃねえか」



真正面に見える城を指差すと、キョーヘーのやつ…人をバカにしたように首を横に降りやがった。



「ここ、俺が作った通り道があんの」


「……なに?リリィみたいな能力、お前もあんのかよ」



少しため息混じりに聞くと、キョーヘーはまた首を横に振る。



「残念ながら、猫の能力はないよ。俺は掘ったの」


「……は?」



掘っ、た……?

思わず口が半開きだ。



「城の中まで掘ってみた!」


「…暇人だな……」



得意げに言ってるけど…どんだけ暇人なんだ、こいつ。

呆れて言うと、キョーヘーは唇を尖らせた。



「別に暇じゃねーやい!ちょっと掘ってみたら、止まらなくなったんだよ」



いや、やっぱり暇人だろ……!

もう、突っ込むのめんどくせえ…




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