不思議の国と俺様アリス
ハートの城のナイト様(1/11)

扉をくぐると、ふわっと心地よい風が吹き抜け、漂ってきたのは……




「……この匂い…」



「おー、やってるやってるー」



「何回来てもすごいわ…」




ダムが楽しそうに、ディーがため息混じりに呟く隣で俺は顔をしかめていた。


目の前にはでけぇ城。
まるで…某ねずみの国にある、灰被り姫の城だ。
これがハートの城、なんだろうけど……

そんなことより気になるのは『音』と『匂い』だ。


――ドン!
――ダダダダダ

まるで銃でもぶっ放してるような…砲丸ぶちまけたような音。

ふわっと漂う、火薬の香りに………




「……血の匂い…?」




匂いの漂う方向に顔を向けながら言うと、ディーが苦笑混じりに呟いた。




「ここはこういうとこなんです」



「うひゃードンパチ楽しそー!ありす、死ぬなよっ」




ディーとは打って変わって、楽しそうなダム。

目がキラキラしてやがる。



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