また会う日まで…さようなら

*また会う日まで…さようなら ( 1 / 1 ) 



 

目の前に君が目を瞑っている

いつもと変わらない
不細工な寝顔



どうしてこんな奴と
結婚なんかしたんだろうか?

自分だったらもっと綺麗な女を嫁に出来たのに


そんな妻を
起こそうと思った


でも、ふと気付く

いつも鬱陶しいと言って

喧嘩していた君の大きないびきが聞こえない


軽く揺すっても

激しく揺すっても

怒鳴っても

叩いても


君は起きないし

泣かないし

怒らない



毎日言い続けた

君の悪口も


毎日続けた

夫婦喧嘩も


いつもなら

絶対言わない甘い言葉にも



君は安らかな表情で眠りについているだけ


今度は静かに話し掛けてみる

俺をおちょくってんのか?
なら、バレバレだ
さっさとそんな狸寝入り止めて起きやがれ


それとも、風邪か?
痛いとこあるなら
たまには俺が家事やってやるよ


あ、もしかして
ドッキリか?


滲む視界が
君との距離を曖昧にする



なぁ…頼む

もう不細工とか
バカとか

悪口言わないし

家事も手伝うから


だから、頼む
目を開けて、



俺を見て






本当は

君だけが居てくれれば
それで十分なんだ


俺の傍にいてくれ

頼むっ





パイプ椅子の
軋んだ音と

俺の泣き声が
小さく響いた








君は



不細工で

いびきがうるさくて

デブで

ちびで

バカで

俺の事ばっかで

自分そっちのけで

本当にアホだったけど…







君は


頑張り屋で

一途で

真っ直ぐで

気が利いて

優しくて

あったかい

俺の大切な

たった一人の妻だよ










ありがとう

ありがとう

溢れる涙を隠しもせず

ただひたすら走って



疲れはてた土手で

夕空を見上げた






どこか

君に似ている夕日に





また会う日まで…


さよなら





と涙を拭いた


Fin...




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