白い壁に赤い屋根。
周りは鉄製の柵に囲まれて中にはバラの花が咲いている。
絵に描いたかのような豪邸だな。
と、藍里は思った。
それと同時に、こんな豪邸の中に入れるのも、探偵で依頼がなければ一生入ることもないだろう。
とも感じていた。
インターホンを鳴らすと、直ぐに声が聞こえてきた。
『はい。どちら様ですか?』
「…若草家の旦那様から、依頼を受けた森野藍里です。」
『お待ちしておりました。どうぞ。』
………?
(どうぞといわれても、どう入ればいいんだ?)
そう疑問を抱いたが、数秒で解決した。突然、『ガチャン!』と錠が外れる音がしたかと思うと、ガラガラガラガラ……と、行く先を塞いでいた柵が左右にスライドし、道を開けた。
中で操作をしているらしい。
「おぉ……!」
余りのハイテクさに、藍里は思わず声を上げた。