空唄―くだらない短編集―

◎ゴミというのは人によって違うんだ ( 1 / 1 ) 



 「……ん?」

てっきり地面に叩きつけられるモンだと思ってたが……身を破裂させるような衝撃を感じない。


その代わりに、やわらかくて温もりのあるものが俺を優しく包み込んだ。


「ばかぁ……勝手に行っちゃやだよぅ……」
タクヤは泣きながら俺を抱き締めた。


「悪いな……」
俺はそういって視界を遮断した。



「あれ? タクヤ、何してるの?」

「ママ!!」


「あら、そんなゴミ抱き締めて。丁度ゴミ捨て行くところだから、ついでに捨ててあげる」

「えー、マンジョレンジャーのプリント気に入ってるのにー!!」



「飛ばない風船はただのゴミよ」


タクヤママは俺を取り上げ、ゴミ捨て場に持っていったのだった。




空詩-ビニール製の風船ってなんか長持ちするよね- END

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×しおり×
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