ハトが運んでくれたもの (1/5)
ハトだ。
ハトが部屋の中で迷い込んで飛んでいる。
眩暈がしそうになり、慌てて玄関の隅へと逃げ込んだ。
あたしは、小さいころのトラウマでハトが大嫌いなのだ。
平和の象徴だと言われようが、
餌に群がるハトの大群を見ると来た道を戻って、
遠回りしてでも、ハトの横に通り過ぎたくないくらい苦手。
例え一匹でも近づきたくない。
それなのに、
ああ。
食器棚の上に止まっているよ…。
どうしよう。
誰かが追い払ってくれないかな。
と、いきなりハトがこちらに向かって飛んできた。
「うわーっ」
慌ててあたしは玄関の外に出て、ドアをバタンとしめる。
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