僕と君の××ごっこ
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見て、見ないふりをした。(1/4)

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「−であるから、−−−−」



教師の言葉を右から左に流して、軽く息を吐く。

周りの人たちを見ると、皆が皆、当然のように真剣に板書をうつしていた。

それを息苦しく感じて、目を閉じた。

カツカツと黒板の表面をチョークがなぞる音。黒鉛が紙の上を擦る音。説明する教師の声。

毎日嫌でも聞く、この音。


「……………」


いつもと変わらない。

誰かに決められたような、自分で決めたような、ありふれた日常。

私を除いた……皆が皆、真面目に授業に取り組んでいる。

そんな光景をすごいと思うと同時に、なぜか自分一人だけが皆から取り残されたような気がしてくる。




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