[事件](1/15)
(んっ…ここは……?)
目を開けるも、布で目隠しをされているのだろう、辺りは暗かった。
音はなにも聞こえず、ただ自分の荒い息遣いが聞こえるだけだった。
でもそばで、人が動く気配を察した俺は、すぐに声を発した。
「…かっ香織……?」
「あっあぁ、目覚めたか」
何かの機械に通しているのか、無機質で機械音のような声が俺の耳にこだまする。
「香織っ……!!返せっ……!!
香織には手を出すな……っ!!」
必死で声を出す。
そんな俺を見てか、古寺真と思われる人物はクスクスを笑い声をたてた。
「そんなに愛してるんだ……?
どれくらい?自分の命に変えられるくらい?それとも…」
そこで声は止まる。
俺は、少し不安を感じてハッと顔をあげる。
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