佐藤すず (2/40)
すずは妹の部屋のドアをノックすると、遠慮せずに中に入った。
「お姉ちゃん」
妹の萌が不安そうな顔のまま、こっちを見る。
すずが母親の再婚でこの家に住み始めてから一年。
二週間前に、中学時代の友だちである美桜と再会したのを機に、萌の身に恐ろしいことが起きていることを知った。
その日からすずは、萌のことを本気で助けてやりたいと思ったし、萌にもそれが伝わったようで、ようやく「お姉ちゃん」と呼んでもらえるようになったのだ。
「今日から島村さんが広島に行ってるから、きっと見つかるよ」
「うん」
泣きそうな顔で頷く萌のことが痛々しい。
四十九日の呪いが執行されるまで後三十六日。
わら人形が見つからなければ、萌は後三十六日しか生きられない。
今は島村鷹斗に任せきりだけど、すずは毎日居ても立ってもいられなかった。
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