『あきちゃん』
[◇終焉](1/2)
そして、当日。
『あきちゃん』は準備を整え終えていた。
『待っててね、ミカ……』
※
一方の晶仁達も、明史の時と同じように、まだ血の生臭さが残った白い部屋で、準備を整えていた。
だが、明史の時とは違い、巫も藁人形もいない。
ミカ達はそれが気になったが、言われた通り正座し、晶仁の指示を仰いでいる。
全ての準備を整えた晶仁は、あきちゃんの襲来を待っている。
※
部屋の真ん中には蝋燭の火が怪しく揺れている。
カタカタカタ……。
部屋が鳴りはじめる。
と同時に晶仁が経を唱えはじめた。
すぐに『あきちゃん』が姿を現したが……、
『久しぶりだね、ミカ』
嘘……千夏?
ミカの目の前に居るのは、あの千夏だった。
「ミカ、何を言われても耳貸すんじゃねえぞ!」
晶仁が直ぐさま叫ぶ。
『ねぇあたし達、友達だったよね……助けて、あたし、この人形に取り込まれちゃうの』
ミカは無視を続ける。
『ねぇ、ミカ?聞いてるの?
ミカ?
聞いてるのかっていってんのよ!!!』
千夏が叫びだす。
「分かっただろ?これはあいつの罠だ。千夏達は、とっくに取り込まれてる。もう死んでんだ!いいな……口聞いた途端、俺らは負ける!」
次に、千夏の顔は、早苗に変わった。
『ねえ、ミカ…晶仁のこと、もういいから。
だから、お願い……千夏はもう、取り込まれちゃったわ……あたしを助けて……ミカ……ミカ……』
耳を塞ぎ、首を振るミカ。
瞳には涙が溜まり、こぼれ落ちそうになっている
顔は明史に変わり、最後に香織に変わった。
『ミカ……。
今まで……ごめん。
あたし、知ってたよ。ミカの過去……。
黙っててゴメン。
でも、あんたとはずっと友達で居たかったんだ。
あんたが辛い思いしてるの知ってたけど、気付かないふりしてなきゃ、あんたが離れていくような気がして……周りに面目が立たなくて……。
あんたの辛さ、知ってて支えてあげられなかった……。
あたしの事なんか、見捨ててもいい。晶仁君の言う通り、あたし達はもう取り込まれてる……。
それよりね、晶仁君死のうとしてるよ。
自分の命と引き換えに、あの人形を葬るつもりなんだ……』
止まらない涙が次々と溢れていたミカは、その言
葉に顔をあげ、香織の方を見た。
「ダメだ!耳かすんじゃねえ!」
『ミカ、晶仁君はそう言ってるけど、解らない?晶仁君の体、しんどそうでしょ?段々薄くなって……』
確かにそうだ……晶仁の様子がおかしい。
「違う!!ミカ、ちょっと疲れてるだけだ!言うこと聞いてくれ!頼むから!!」
『あんたの後ろ、蝋燭があるでしょ!それを消して!儀式が中断されるわ!これじゃ貴方は勝てない!晶仁君が死んじゃう!』
「ミカ!!止めろお!!!!!」
気付けばミカは、蝋燭を手で叩き付けてしまっていた。
スローモーションのようにミカの体が崩れ落ちる。
そして瞳がゆっくりと閉じられた。
「ミカっ!!」
直ぐさま駆け寄り抱き抱えた晶仁と、口を真一に結び、見当たらない人形を睨めつけ探す庸平。
何処からか『あきちゃん』の声が聞こえる。
『残念だったねぇ〜、ミカはあたしのなの〜貴方なんかには渡さないから〜ギャハハハハハハハハハハハハ!!』
そう言って、木魂だけを残した『あきちゃん』は消え去っていった。
ミカの死に顔は、人形に呪い殺されたとは思えない、とても安らかなものだった。
end.....
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