episode03 記憶喪失(1/2)
記憶喪失なのだろうか?
「ゆっくりでいいから何か思い出せることはないかな?例えば年齢とか」
『年齢は多分ですけど17才だと思います』
「高校生?学校名はわかる?」
『いえ…わかりません』
そっか。
思い出せないからといって
責めるつもりはないよ。
「無理しなくていいよ。思い出したことがあったらまた教えてくれればいいから」
とりあえず、病院のなかでだけで
使う名前がないと不便だねと話し、
「仮名だけど、何か名前考えないといけないね?」
『だったら、私の事を
落合花楓って呼んでください』
「おちあいかえでちゃん?秋らしくてすてきな名前だ」
それが本当の名前と何か関係があるのか?
わからないけれど。
『迷惑をかけてしまってすみません』
「迷惑なんかじゃないよ」
今は思い出せなくても
僕たちも手分けして身元につながるような情報を探してみるから
「そんな心配そうな顔しなくていいよ
今日は意識が戻って、お話ができるようになっただけでも大きな大きな一歩だよ」
いくら笑顔で励ましてまそうとしても
彼女は僕と目を合わせることすら
してはくれない
僕に何かしてあげられることがあるだろうか?
- 8 -
back next
▷bookmark
top