死ぬ程洒落にならない怖い話
[佇む集](1/3)



もうずいぶん昔の話。


消防学校に入学して、半年って頃。


うちの県の消防学校は川辺にあって、台風のときはよく溢れたりした。


今でこそ、水門も完成して人通りの多い道に面してるけどその頃は空いた土地をたまたま使った、みたいな凄い辺鄙な場所で、夜には街頭なんかほとんどない場所だった。


水難事故もかなり多かったらしくて「ここはあぶない!」みたいな絵の看板が何十と立ってる不気味なところだった


消防学校って完全寄宿舎制で基本的には寮生活なんだけど夏休みはみんな大体帰省する


でも幾人かは「訓練したい」とか「面倒だ」って理由で寮に残ってて、自分もその一人だった。


8月も半ばの暑い夜に、寮にはクーラーなんかないから、外で涼むんだけど、訓練棟やら車庫やらに川の音が響いて不気味だった。


で、残った寮生同士で懸垂勝負だ、ロープ登り勝負だ、って馬鹿なことを夜中の2時3時の涼しくなる時分までやってたら、学校の門の前を明かりが通っていく。


最初はちらほらだったんだけど、気にしてから眺めてると10か20は通ってた。


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