Sevens外伝 明智鏡也編
[ニフの真価](1/4)
辰丸「ラケットのアームスなんて、初めて見たぜ」
ニフ「レアだろ」
ニフ「ちなみに、日本に来てから俺にコイツを使わせたのはお前で4人目だ。誇っていいぞ」
ヘラヘラとしながらニフはラケットを前に出した。
先程と一転し、ニフに緊張感が無い。
もともと戦闘の瞬間だけ極限集中するタイプなのか、それともラケットを持った自分に自信があるのかわからない辰丸は、攻撃のしようが無かった。
しばらくすると、ニフはグルグルと辰丸の周りを歩きだした。
間隔を少しずつ少なくしているわけではなく、ただ周り続けている。
辰丸「どうしたんだ?かかってこいよ!」
ニフ「さて、どうしようか」
辰丸「………………………ちっ」
ニフ「ああ、お前の事じゃないぞ。後ろのハイエナ共だよ。お前と戦ってる時に後ろからズドンは嫌だろ?」
辰丸がニフの後方に意識を張り巡らす。なるほど、さっきの戦いの間に距離をだいぶ縮めたらしい。だいたい50mほどまで詰めてきている。
辰丸「先に、、、片付けるか?」
ニフ「お!話がわかるな。そうだな。俺のファーストとセカンドの公開ついでに、片付けよう。離れておいてくれ」
辰丸にそう指示を出すと、ニフはクルリと振り向き、10人近くいる敵達にこう叫んだ。
ニフ「おい!そこにいるハイエナ共!俺の首がほしいんだったらさっさとこいよ。全員まとめて相手してやるよ」
辰丸「…………………お手並み拝見だな。オイ!鏡也!お前もこいよ」
辰丸のちょうど後ろのビルに潜んでいた鏡也は、ああ。と生返事をしてビルを降りていった。
鏡也「兄貴。DBは大丈夫なのか?」
鏡也が心配してるのは、すなわちファースト、セカンドの同時発動の負担の事だ。
辰丸「蒼龍波がうまい具合に入ったからな、ピンピンしてるぜ」
鏡也「そうか。よかった。…………………………………………あいつ、凄いな」
そう鏡也が言うと、辰丸もニフの様子を見た。
見た所、人影はニフを会わせて8人いる。
相手はそれぞれ剣や槍、斧など、よく見るタイプのアームスばかりであったが、思ったより実力があるようで、際立ったスキは無いように見える。
辰丸「あいつら、、、チームか?」
辰丸がそう思った理由は、即席の集団にしては連携が多いからだ。
しかし、驚く事にニフは一切攻撃が当たっていない。
鏡也「兄貴……………もしかして、あいつのサード、負担がかかるんじゃないのか?」
鏡也の考えは当たっている。
もともと形状変化のスキルは不安定なものであるため、DBの動きにズレを起こすものも少なくない。
とくにニフのような原形を留めないものは発動中に普段通りに動けなくなるのだ。
それが解放された今、まるでダンスを踊るかの様な身のこなしをするニフは妖精を思わせる。
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