Sevens外伝 明智鏡也編
[勝利への行進](1/14)
――数日後――
深く生い茂ったジャングルに、鏡也はいた。
虫や鳥の声がそこかしこで聞こえ、遠くでは猛獣の咆哮も聞こえる。
鏡也「経過時間2時間13分……記録更新っと」
もちろん……これは実際の世界ではなく、ダニーとレオが作り上げた仮想現実空間である。
鏡也「っ!?」
鏡也は危険を察知し、身構えた。
鏡也(大型の肉食獣か……どこから来る…?)
強い殺気と押し殺してはいるが大きな息遣いから相手を予想しながら、鏡也は辺りを警戒していたのだが、
?「GARRRR!」
鏡也「しまった!?」
背後から襲われ、強制ログアウトとなった。
現実世界に意識が戻った鏡也が最初に感じたのは、一人の男の視線だ。
?「お帰り鏡也」
鏡也「ただいまダニー…」
鏡也達三人はあの日…つまり正式にニフ達のチームに入るのが決定した日から、放課後は毎日ダニーの店に入り浸っていた。
正確には、店の地下のトレーニングルームにだが……
ダニー「一応、記録は更新してるみたいだね」
鏡也「ああ。でも、まだエリアAから出れてない…」
ダニー「ふむ…20分後にもう一度ログインしようか。それまでは、他の二人の様子でも見ておいで」
鏡也「わかった」
克巳と辰丸。
どちらの練習を見るか一瞬悩んだ鏡也だったが、練習方法から克巳を選んだ。
克巳の練習内容はとても単純だ。
1対2。
相手はニフとレオ。
手加減は無し。
単純だが、一番効果的でもある。
ログインはせず、コロッセオ内のカメラからの映像をソファに座りながら見ていると…調度、段落が付く所だった。
克巳「でやぁ!!」
ニフ「まだまだスキが大きいぞ」
克巳の右ストレートをニフはジャンプで回避する。
克巳「いや!もらったぞ!」
そう言うと克巳は左脚を蹴り上げてニフに追撃を仕掛ける。
レオ「フォース―ウィークリーライフル」
克巳「!?」
しかし、レオの攻撃に気がついて無理矢理攻撃を停止し、前方に跳ね飛んで回避を試みるが……
ニフ「セカンド」
黒いラケットの衝撃波に直撃し、克巳は光となって消えた。
克巳「ちっくしょ……もう一度だ!!」
現実世界に戻ってきた克巳はDBのメンテを行わずにログインしようとする為、ダニーに止められた。
…そもそも、何故克巳がこのような練習をしているかと言うと、それは克巳のネオの勝負に慣らす為だ。
克巳は実家の空手道場を引き継ぐ為にほぼ毎日父親と訓練をしていた。
おかげでネオにおいての基礎能力値は大変優秀なものとなっているが、鏡也や辰丸と比べると克巳はネオをやっている量が格段に少ない。
さらに、克巳のやっている空手の流派は試合を寸止めで行う為、データとは言え命の取り合いをしているネオコロッセオ特有の闘争本能と言うのに欠けている。
克巳から寸止め試合の癖を無くし…もっと思い切りが良く、それでいて慎重な戦闘を短期間で心掛かせる為に、ハードな練習ではあるがこの練習を行っているのである。
克巳「よっしゃ!もう一回行ってくるぜ!!」
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