芹沢くん、こっちむいてホイ!

カレシ、です?(1/44)










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「男子は
サッカーとバスケの二つに
別れます。

女子はバスケとバレーです。

トーナメント戦だから
なるべくサッカー部はサッカーとか、
得意なほうにでてください。」


教壇にたって、
昨日の中央委員会で
決まったことを書いたメモを
読み上げた。



この学校恒例

5月の頭にある『球技大会』

新入生との
親睦を深めるという
意味があるらしいけど、

毎年まぁまぁ盛り上がる
イベントで。


『はいはい!!俺!
サッカー!!!!』

と、嬉しそうに
手を挙げて騒ぐマコに
クラス中から
ブーイングの声。


『えー!誠、背が高いし、
運動神経抜群だし
ダブりんでしょ!!』


『そうだよな。誠が
やらんで誰がやんだよ!』



”ダブりん”とは、
人数合わせて、サッカーも
バスケも両方でなくては
ならない人。
男女数人ずつ必要だ。


チョークで黒板に
サッカー、バスケ
バスケ、バレー

と、記入して、
それぞれ挙手して
やりたい球技を
言ってくれた人の名前を書く。


そう、この球技大会も
取り仕切るのは
中央委員。

なんで、わたし
本当にあの時じゃんけんに
負けたんだろ…



『えー!ダブりん
休憩ねーんだもん!疲れるから
やだー!しぬー!』


マコが駄々をこねるけれど
運動神経
クラス一位、二位を
争うレベルのマコは
否応なしに『ダブりん』です。



コツコツ、とチョークで
サッカーとバスケの
下に名前を書いて
(ダブりん)と付け加えた。



『おい、一華。
勝手に書くなよ!!』


「やるからには勝ちに行こう!

マコ!応援するっ!!」


『応援はどのみち
すんだろ!

じゃあ!
お前もダブりん
やれよ!ズリぃじゃん!』


と、マコが叫ぶと


『だめだよぉ!一華運動
できないもん、ね?一華!!』

と、どこからともなく
助け船が。

「そうそう!
運動音痴なんだもん!
足引っ張っちゃうだけだよー」


アッカンベーと
マコに向かって舌を出した。


わたしの
運動神経なめんなよ!?
つうか、マコが
一番知ってんじゃん!


『おぉ!こいつ、バレーの
試合でレシーブして

後ろのバスケットゴールに
はいったかんね。

ある意味、神だわ。』


ぎゃははははっ。
まじか。うけるー。

と、笑われてるわたし。


ぐぬぬぅ…

ばらすなよ、中学生の
頃の武勇伝を!!(←武勇伝とはいわない)



となりで柊くんが
笑っていたけれど…

ごめんね、柊くん。


チラッと柊くんをみて


コツコツ、と。

またチョークで



『えっ?えっ?冴島さん?
なんで??』


両方に”芹沢柊”とかいて
(ダブりん)と書いた。


クラス全員一致で拍手。

はい。今年のダブりん決定!



『ひどいよぉ。冴島さん。

僕、休憩なしはやだよぉ』



過酷スケジュールなのは
みんな知っているので
ダブりんは毎年人気がない。


けれど、
この二人のおかげて
去年のクラスは一年生なのに
準優勝できたのを
わたしたちは知ってますからね。



頭も良くて運動もできる
柊くんが学年で一番モテるのは

納得ですわ。


顔も、ビックらイケメンさんですしね。
















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