洒落怖★師匠シリーズ
[■コジョウイケトンネル](1/2)




師匠には見えて、僕には見えないことがしばしばあった。


夏前ごろ、オカルト道の師匠に連れられてコジョウイケトンネルに深夜ドライブを敢行した。


コジョウイケトンネルは隣のK市にある有名スポットで、近辺で5指に入る名所だ。


K市にはなぜか異様に心霊スポットが多い。


道々師匠が見所を説明してくれた。


「コジョウイケトンネルはマジで出るぞ。手前の電話ボックスもヤバイがトンネル内では入りこんでくるからな」


入りこんでくるという噂は聞いたことがあった。


「特に3人乗りが危ない。一つだけ座席をあけていると、そこに乗ってくる」


僕は猛烈に嫌な予感がした。


師匠の運転席の隣にはぬいぐるみが座っていた。


僕は後部座席で一人観念した


「乗せる気ですね」


トンネルが見えてきた。


手前の電話ボックスとやらにはなにも見えなかったが、トンネル内に入るとさすがに空気が違う。


思ったより暗くて僕はキョロキョロ周囲を見まわした。


少し進んだだけで、これは出る、と確信する。


耳鳴りがするのだ。



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