世界が愛に染まる時
8章…[心の隅の箱](1/41)
先生と想いが通じ合って1ヶ月。
あれ以来、先生の親衛隊からの攻撃も何もなく、無事学校は春休みに入った。
暴走族の皆も仕事が休みに入り、皆して昼から廃墟に集まってグダグダと下らないことを話したりしている。
見たこともないようもない奴もいてビックリした。
先生も「やることないしな」とか言って、よく廃墟に顔を出す。
先生の家や外で会えない私達にとって、廃墟は会うのに都合のいい場所だった。
先生の家は学校関係者にはバレていないみたいだけど、いつどこで、どうバレるか分からないから。
先生はあのカッター事件があって以来、やけにそういうことを気にするようになった。
私だって先生に迷惑をかけるのは嫌だし、それで意見が分かれることはなかった。
今日も、私と奈々は2人して廃墟に向かっているところだ。
完璧に春の気候になり、こんな昼間だと少し暑いくらいだ。
「奈々、昨日も廃墟に行ったのに…斗真君心配するんじゃない?」
「んー?だぁいじょうぶだよぉ。だって司君に会いたいもん」
奈々の目はもはや少女漫画の主人公のようにキラキラと輝いている。
司君とはカミさんのことなんだけど……
結局カミさんは上手いことやって、ちゃっかり奈々の彼氏の座を持っていってしまった。
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