世界で一番君が好き
★Moon Right (1/7)
  アオカン






 ――***――




祐希Side――――





グランドに響く歓声の中、俺はパスを出す。


俺にはわかっているから。
アンタがそこに走り込むこと。




アンタの脚が力強く大地を蹴って、

アンタが鮮烈なボレーシュートを決める。





ボールが音を立ててネットを揺らす。





ああ…――――







アンタは何てキレイなんだ…。







歓声を上げて仲間がセンパイに抱きつく。

俺はその人垣の中から大輝先輩を見つけ出して、後ろから蹴りを放つ。



どさくさに紛れて図々しい奴だ。








 ――***――





遠征先の強豪高校との練習試合、結果は2−0で快勝。

その内の1点は直哉センパイの得点。勿論俺のアシストだ。


何て言うか、こういう試合の後は、気分が高揚して、体の火照りが収まらない。


「祐希、ナイスアシスト!」


「直哉センパイ!!」



直哉センパイにプレーを誉められるのは、俺にとって至上の喜びだ。


ゴールを決めた高揚感で、直哉センパイの頬にはほんのりと赤みがさしている。


その顔は、セックスした後の表情とよく似ていて、

俺は欲情してしまう。



「直哉センパイ、早く帰ろ。もう、真っ暗だ。」

「うん。」






 ――***――





いつもの帰り道、直哉センパイと二人の時間。


でも、いつもと違う。
直哉センパイが自分から俺の手に指を絡めてくるから。



いつもは俺から手を繋いでて、それも人の気配を感じると瞬時に振りほどかれるのに。


ゴールを決めた日は、いつもご機嫌な直哉センパイだけど、今日のはちょっと違う。

…俺を誘ってる…ような気がする。



「……直哉センパイ…?…したいの…?////// 」


「……うん…////// スゲー…したい……////// 」

普通の状態なら絶対にこの人の口から聞かれるはずのない言葉に、俺の脳が沸騰する。


「直哉センパイ…――俺も…。」



醒めやらないゴールの興奮が、俺たちの体を熱くさせている。


家に着くまでとてもじゃないけど我慢出来ない俺は、直哉センパイを目の前の公園に引き摺り込む。











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