世界で一番君が好き
★トモダチのその先(1/3)
大輝の告白
「え…?大輝、今何て?」
「直哉が好きだ。」
それまで吹いていた風が止んで、
俺の中の時計が止まった――――
――***――
「直哉が、好きなんだ…。」
大輝が、絞り出すようにもう一度繰り返す。
いくら俺が鈍くても、今の大輝がふざけてないことくらい、わかる。
血液が流れる音が聞こえる。
体が動かない。
俺はどうすればいい…?
「今すぐ答えてくれなくてもいい…。でも、知っておいて欲しい…。」
そう言って、去って行く大輝を、
俺は呆然と見送った――
――***――
大輝の気持ちに全然気がつかなかった俺は、最低だった。
俺のことが好きな大輝に、祐希のことを相談した。
セックスができなくて悩んでいた時も、相談した…。
いつも、大輝は笑顔で励ましてくれたから、俺は、大輝の気持ちにちっとも気がつかなかった…。
最低だ……。
大輝はどんな気持ちで答えていたんだろう?
俺はどれだけ大輝を傷つけたんだろう?
ゴメン…大輝…。
前の俺だったら、大輝の気持ちに応えたいと思ったかもしれない。
でも、今は、祐希が苦しむようなことはできない…。
俺は、知ってしまったから。
俺にとって、祐希がその人だって。
大輝とはガキの頃からいつも一緒にいた。俺のことも多分親よりも知っていると思う。
俺の一番大切なトモダチ…。
俺が断ったら、俺たちはもう、友達じゃいられなくなるのかな――――?
俺たちはどうなるのかな…?
53前n[*]|[#]次n栞
⇒作品レビュー
⇒モバスペBook
▼back