世界は誰のもの?
[君の名は](2/13)
「で、悪い運て何や」
「お主、失せ物の相が出ておる」
「……は?」
思わずマヌケな声が出てしまった。
「失せ物?何かなくすってか?」
「そうだ。しかも相がかなり色濃く出ておる。近いうちに何か大切な物をなくすぞ」
「大切なもんって言われても別になんも……」
なくして困るのはお金くらいだが、また稼げば済む話だからそこまで辛くはない。
今全部持っているものは、なければ困るがどれも代えのきく物ばかり。
だがその時、ふと視界の隅に赤色がちらついた。
……よりによってひよこのリボンかい。
「大切な物で思い当たる節がありそうだな」
すかさず口を挟んでくる。
「なっ、ちゃうちゃう!」
それが大切な物だと素直に認めるのはめちゃくちゃ悔しくて、出雲は視線を逸らした。
あれから彼女とはもうずっと会っていない。
最後の別れ際、いつか会えるとは言ったがそのいつかはまだ一向に訪れていない。
旅の途中で立ち寄れたらとも思っているが、今のところ神狼の里の近くに行く用件もない。
多分幸せにやってるんだろう。
風の噂で、神狼の当主が人間と結婚したと聞いた。彼女のことだろう。というか彼女じゃなかったら確実にぶちギレる自信がある。
一一けどもしひよこが独りなんやったらまだ俺にも可能性が……!?
と、そこまで考えて頭を振った。
一一別に未練なんかあらへんわ!!
もう数年が経ち、彼女も俺のことなんか忘れて幸せになっているのだろう。
さすがに今いるここは神狼の里からはかなりの距離があるから、神狼の里の噂話は届いてはいないだろうけど。
「別になくして困る大切なもんなんてないし」
見透かすように口角を上げる占い師。妙に悔しさと照れ臭さが入り交じって、そっぽを向いた。
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