世界は誰のもの?
[君の名は](1/13)




 神狼と鬼熊の全面戦争が幕を下ろしてから数年後。


「お主、失せ物の相が出ておる」

「……は?」


 事の発端はその言葉だった。





 番外編『君のは』








「うわー、えらい人多いな」


 今日着いたばかりの里は、観光の名所と言われているだけあって様々な種族で溢れていた。

 ゆえに長くて白い耳を大っぴらにしていても注目を浴びることはない。


 なぜここが観光の名所なのかと言うと、理由は里のあちこちに植えられている桜の木にある。

 この里は1年中桜が咲き乱れていると噂には聞いていたが、まさか本当に秋にもなって桜が咲いているとは思わなかった。

 市場も、ここに来る前に立ち寄った里よりも随分と賑やかだ。


 けれど人混みがあまり好きじゃない出雲は、早々に宿を見つけて休みたいところだった。


 一一前んとこで稼いだ金があるし、今日は久々にええとこに泊まったろかな。


「おい」


 一一まずは風呂入って汗流して、ほんで美味しいもんでも食べ……。


「おい、お主!」


 一一うわ。なんか胡散臭そうなのが叫んどるわ。可哀想に呼ばれてるの誰やねん。


「お主だ!おい、そこのウサギ!」

「……って、え?俺!?」

「そうだ。こちらに来い」


 少し人通りの少なくなった市場の隅で、頭から布を被った老人が出雲を手招きしていた。

 げ。面倒やな。


「あー、俺占いとか信じへんタチやさかい」


 どんなぼったくりに遭うか分かったものじゃない。

 必死で稼いだ旅費を無駄遣いしてたまるか。


「物は試しだ」

「ええから」

「お主に悪い運が見えておるのだ。回避する術を教えてやろう」

「俺何言われても信じへんて」

「器量のない男だな」

「いやそれ関係ないやろ!」

「数分で終わるぞ」

「悪いけどこれから宿探しやさかい数分の暇もないんやわ」

「本当にいいのか?」

「しつこいな。もう行くでな」

「待て、初回は無料だぞ」

「5分だけやで」


 我ながら単純。




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