性格悪い系彼氏
1回目の誕生日 (1/15)
◆◆◆
私の誕生日の11月29日は、残念ながら平日だったのだが。
翌日は土曜日で、生田さんも私も学校お休みのため、泊まるって親に言っとけよ、とか生田さんに言われて。
緊張と恥ずかしさと叫びだしたさでいっぱいいっぱいになりながら学校から帰宅後に風呂場に直行しシャワーを浴びる。
「あんたなんでこんな時間に風呂入ってんの?」
大学が休みで一日中家でゴロゴロしてた姉が、扉越しに不思議そうに訊いてきた。
「いや、汚れという汚れを全て洗い流そうかと……」
「何それ。これからデートなの?」
「……ふぁい」
「あー、そういや彼氏いるって言ってたもんねー」
いいねー若いって、とか大して羨ましくもなさそうに言ったお姉ちゃん。いや、2つしか違わないだろ。
お姉ちゃんと仲が悪いわけではないのだが、恋話とかは滅多にしなかったりする。
親が離婚してる上にお母さんは男にだらしがない自由人だから、私もお姉ちゃんも、恋愛というものにキラキラとした憧れが少ないからかもしれない。
「彼氏どんななの。イケメン?」
「……すごい、ものすごいカッコいいっす」
「いや、客観的に外見見て」
「客観的に見てもカッコいいよ」
「うっそだー」
本気で信じてないように言った。
いや、メチャクチャイケメンだよ!って意地張って反論しても、生田さんの外見もだけど内面の良さも伝えきるには何ヵ月もかかりそうだからやめておく。
まあ、ちょっと内面に問題はあるけれども。ちょっとではないか、大分か。
「何、彼氏ってあんたの鮫肌知ってんの?」
「え?」
「その重度なブツブツで、超イケメンが構ってくれるなんてことないでしょー。私何度も全身の鮫肌見せた後にフラれたことあるし」
その諦めたようなお姉ちゃんの言葉に、ぐわっと現実に引き戻された気分になった。
……そうだ。浮かれて忘れていた。
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