性格悪い系彼氏


肉食系の新バイト (1/9)








◆◆◆



旅行翌日の放課後の部活で、相変わらず報告魔の私は早速旅行のことを佐藤さんに話した。

夜にあった、恥ずかしくてぎゃー、って部分は飛ばした。言えない、言えるわけない。



「やっぱ言ったじゃん。ただのバカなんだよ生田さん」

「は?」



お土産に買ってきてあげた、東京駅にも売ってるような地域限定のじゃがりこを食べながら佐藤さんが言った。



「バカだから、気付いてないんだよ」

「え、気付いてないって、自分が酷いことをしてるってこと?」

「違う違う。松浦さんを好きってこと」



そう言って、じゃがりこ2本を丸々口に放り込んでもぐもぐ噛んだ佐藤さん。もっと女子らしく食べようよ。

いや、それより。なんだそれは。



「いや、嫌いってはっきり言われたんだけど……」

「めんどくさい性格とか鮫肌とか、そういうカテゴリの女が嫌いなのは事実なんだと思うよ。私も面倒な性格嫌いだから分かるし」

「うおう……、はっきり」

「でも、松浦さん自体は好きなんでしょ」



嫌いなジャンルなのに好きになる作品とかあるじゃん、と佐藤さんは言った。

まあ、確かにそういうのはあるけど。



「で、松浦さんのジャンルがピンポイントで嫌い過ぎて、気付いてないというよりは本気で嫌いだと思い込んで好きだと認めたくないんだと思うよ、多分」

「え、そうなのかな」

「ほら松浦さんだって、生田さんの非道なことするところ嫌いで、生田さん自体を素直に好きって認めたくないから余計愚痴っちゃったりとかするでしょ」

「それは、確かに、そうだけど」

「生田さんはそれが悪化した感じなんじゃないの、と思うけどね。自分の気持ちに素直になれない頭が固いバカなんだよ」



バカな男はめんどくさいねー、とじゃがりこを今度は5本まとめてぼりぼり食べだした。いや、女子らしく食べなって。



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