性格悪い系彼氏
お金の行方 (1/8)
◆◆◆
「まっちゃん、来月のシフトそろそろ決めるから、まだ書いてない日にち書いちゃってね」
「あ、はい」
バイト10分前、いつものように事務所に入ると店長がそう話しかけてきた。
そうか、もう9月も終わっちゃうのか。早いなあと思いながら壁に貼ってある10月のシフト希望表を見る。
すると、一昨日とりあえず橋下くんのバツだったとこだけマルを付けていたのだが、その橋下くんの欄のところがマルに変わっていた。
これはあれか。昨日橋下くんはバイト入ってたから、昨日書き換えたのか。一昨日倉庫であんだけ嫌がったのに懲りてないなあのやろう。
「あ、そうだ。来月から新しい子入るから、仕事教えてあげてくれる?」
「え、あ、はい、分かりました。久しぶりですね、新しいバイト」
「うん。でもねー、人が今足りないから入れちゃったけど、ちょっと不安なところがあるんだよねー」
「え」
なんだそれ。不安なのに入れるとか、この人いつになったらその適当さが直るんだ。
「それは……、どういう不安ですか」
「都内に住んでるんだよ、その子」
「え?都内って……なんでわざわざここのバイトを」
「そー、時給も特別良くないしさ、駅からそんな近くもないし。でもなんか、大学の定期圏内だからいいんだって言われちゃって」
キツい感じの女の子だったから押しに負けちゃった、と軽く言う店長。この人本当に店長向いてないな。
それにしても、大学生ならこんなとこより都内で稼いだ方が絶対いいだろうに。なんでこんなプチ田舎のコンビニを選んだんだろう。
でも女子大生の知り合いができるなんて、ちょっと嬉しいかもしれない。
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