性格悪い系彼氏
脚立のある倉庫 (1/8)
◆◆◆
9月も終盤に差し掛かり、そろそろ涼しくなってきてもいいんじゃないかと思うんだけどまだまだ暑くてげんなりだ。
なのに私のバイト先のコンビニは、もう中華まんの販売を始めやがった。
なんか、ある大手コンビニは一年中売ってるのになんでここは冬にしか売らないんだとお客さんから本社にクレームがきたそうだ。
暑いときに中華まんなんて食べたい人なんて極稀だから、蒸してもほぼ全部廃棄になる。
もうおでんとか始めてるコンビニあるけど、廃棄ばっかなんだろうな。
「あ、まっちゃん。今日6時から橋下くん来るから」
「……え?」
学校帰りに夕方バイトがあり、事務所に入って準備をしてると店長がパソコンで発注しながら言ってきた。
「え、今日一緒なのって長島さんなんじゃ……」
「なんか長島さん、今日体調不良で休みたいってさっき連絡きてさ。で、橋下くんに電話してみたら6時からなら出れるって」
「……そ、そうですか」
そうか、それなら仕方ないけど。
なんか変な暴走しやがってから3週間近くバイト被らないように入れてたから、ちょっと会うの気まずいかもしれない。
まあ、そんだけ会わなかったんだから冷めてるでしょ。きっと。
「そうだそうだ。橋下くん中華まんの解凍とか蒸し方とか知らないから、教えといてくれる?」
「あ、はい。分かりました」
「後、上がる前くらいにお客さん完全にいなくなったら、外の横断幕付け替えといてくれるかな。昨日服部さんがサボって俺一人で夜勤だったから、やる暇なかったんだよね」
「……またですか。クビにしてくださいよ、服部さん」
「いやー、今ほんと人いないからさ。また新しい人が入ってくれればいいんだけど……」
困ったように頭をかきながら、シフト表をパラパラ捲る店長。まあ、入ってきたところでサボり魔だったら意味ないけど。
店長、髪色がマトモなら誰でも入れちゃうからな。もっとちゃんと面接すればいいのに。
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